もうすぐ発売されるBTSの新しいアルバム『PROOF』ですが、私は悩んだ末に不買することに決めました。
このアルバムについては記事にまとめたくらいに、すごく期待していましたし、今でも「聴きたい、手元に置きたい」という気持ちは変わりません。
でも、私の中で性犯罪を許さないという信念は絶対的なもので、それは何があっても揺らぐことがありません。
私は男性であろうが女性であろうが、性犯罪、性加害者を絶対に許しません。
ジミンさんのソロ曲『Filter』を手掛けたボビー・チョン氏の性的暴行と違法撮影によって、1人の女性が自死を選びました。
歌手志望だった彼女は、性被害によって亡くなってしまったのです。
『Filter』リリース2ヶ月後のことです。
ボビー氏は同意の上であったとの主張をされています。
ボビー・チョンは去る2019年7月、当時20代だった歌手志望の恋人女性に対し、身体の部位を違法撮影した疑惑で裁判にかけられた。女性はボビー・チョンからの性的暴行被害を訴えた後、翌2020年4月に“極端な選択”でこの世を去った。
恋人女性以外にも、ボビー・チョンは2020年7月から9月にかけて、また別の女性に暴行を加え、同意なく身体を違法撮影した疑惑が持たれた。
日本では報道されていませんが韓国メディアによると、被害女性は遺書を書いて自死しており、ボビー氏の自宅からは違法に撮影された動画が大量に見つかっています。
また、性加害が行われた際、被害者の酒には薬が混ぜられ抵抗できないようにされていた疑いもあります。
これは全てSNSのデマではなく、韓国のメディアが実際に取材してニュース番組で明らかにしている事実です。
HUFFPOST韓国版にも詳細が出ています。韓国語の分かる方は読んでみてください。
こういった事件は日本でもよくあります。歌手志望、俳優志望の女性を業界の人間が性搾取している現実は、韓国や日本だけにとどまりません。
私はとてもじゃなけれど、こうした人物のためにお金を使えないです。それがわずかな印税であったとしても。
いまだこの問題は係争中にもかかわらず、BTSの集大成とも言えるアンソロジーに性犯罪疑惑のボビー氏の手掛けた楽曲を入れてしまう意識の低さ。
2020年当時ならまだ情報が錯綜していたかも知れないけれど、今となっては事実が全て明らかになっているのに…。
ボビー氏がBTSに提供した楽曲は他にもいくつかあって、コンサートで歌うのは仕方ないと思っていました。
作品に罪はありませんし、防弾少年団にとっては全てが大切な曲ですから。
ただ、新しくまたCDをリリースするというのは、やはり違うのではないではないかと感じたのです。
ジミンさんのソロ曲は『Filter』以外にもあります。
この曲にこだわりたい気持ちは理解できますが、被害に遭った女性やそのご家族の気持ちをなぜ最優先に考えられないのか、全く理解できません。
日本では2020年に当時大人気だった漫画『アクタージュ』の原作者が性犯罪で逮捕されました。
そのとき、作画を担当された方がすぐに被害者の気持ちに寄り添うコメントを発表されたことが強く記憶に残っています。
性犯罪によって受けた傷は自然に癒えるものではありません。この先も似た身なりの人とすれ違うたびに体が強張り、早足になり、夜道を歩くことに恐怖を覚え、被害に遭われた方の人生に本来必要なかったはずの緊張と恐怖をもたらします。
(中略)
当然のことですが、作品が終了するのは被害に遭われた方のせいではありません。被害に遭われた方が声を上げたこと、苦痛を我慢して痴漢行為や性犯罪に対して泣き寝入りしなかったことは決して間違いではありません。正しいことが正しく行われた結果です。
その勇気と行動を軽視したり、貶めたり、辱めるような言葉でさらに傷つけることは、あってはならないことだと思います。
加害者と同じ作品に関わるものとして被害者の心に寄り添い、作品を愛する人が被害者に対して悪意を持たないようにきちんと釘を刺しています。
宇佐崎しろさんは1997年生まれで、ジョングクさんと同じ年齢です。事件当時はまだ22歳でした。
このBTS新アルバムの問題を受けて、とても悲しくて、サイトに書くべきかどうするべきか悩んだのですが、SNSではBTSは何も悪くないと主張するアミさんばかりで、それは違うのではないか?と個人的に感じました。
「BTSは何も知らなかった、悪いのはHYBEだ」という意見が大半なのですが、彼らはすでに20代後半で、物事の分別を判断できる成人男性です。
そして、ボビー氏の性犯罪疑惑は今急に騒がれ始めたのではなく、『Filter』が収録されたアルバムのリリース時から問題視されていました。
こうした問題はすでに表に出ていたにもかかわらず、ボビー氏はまた別の女性に性的暴行と違法撮影を行いました。
それにより再び訴えられ、裁判が行われている最中にもかかわらず、BTSは新しいアルバムの中にメンバーの意思でボビー氏の曲を選んで収録した。
これが事実です。
一部のアミさんが主張するほどBTSはHYBEの言いなりにはなっていないと思います。
アミさんの中にはこの問題に言及したジャーナリスト本人や所属メディアの情報を拡散して、数千数万単位で嫌がらせのメールや電話を続けている人達もいます。
また、この問題を報道した放送局にも同様の嫌がらせが続いています。
BTSを大切に想う気持ちが、1人の女性の命を軽んじることに繋がるのは悲しいです。
自分達が愛する人を守りたい気持ちは、立場や環境が変わっても同じ。
もしもバンタンを守りたいあまりに報道する側や被害者側に怒りが湧くなら、ボビー氏の性犯罪で傷つけられ命を絶ってしまった女性の遺族が抱える怒りを考えなくてはいけません。
私は、できればきちんとメンバーが自分の口で説明をした上で、発売日を遅らせてでも、問題の楽曲を外してリリースして欲しいと思っています。
あらためてボビー・チョン氏の楽曲を支持するBTSメンバー
6月4日に配信されたApple Musicのラジオ番組『BTS Radio: Past & Present』では、メンバーがお気に入り曲を選びました。
その中でメンバーがボビー・チョン氏が手がけた楽曲『Love Maze』『HOME』を選んでいました。
『Love Maze』はナムさんとテテとジョングクさん。『HOME』はテテとジョングクさん。
これだけボビー氏の事件が問題になっている中で彼が関わった楽曲をお気に入りに選んだのは偶然ではないでしょう。
むしろ「批判には負けない」という姿勢を全面に打ち出したくて選んでいると思います。
こうした行動については残念な面もありますが、最初から書いているように『Filter』もメンバーの意思で選んでいることはわかっていたので、予想はできていました。
個人的な気持ちとしては、早い段階でBTS新アルバムの不買を決めて記事を書いておいて良かったな、と。
命を絶った被害女性の気持ちに寄り添えない人達が、「性犯罪者に印税が流れるのはつらい」と感じているファンの気持ちに寄り添えるわけありません。
それがBTSというグループなのだと思います。
昔も今も彼らの歪んだ倫理観は変わっていないです。
悲しい気持ちになる方もいるかも知れませんが、倫理観がぶっ壊れているアーティストやミュージシャンはたくさんいて、BTSもその中の1つだと考えるべきなのだと思います。
ただ今回は自死された女性とそのご遺族の気持ちを想うと、本当にどういうつもりなのか理解に苦しんでしまいます。
せめて説明する責任はあると思いますが、やらないのでしょうね…。さすがに呆れてしまいました。