元ADOR代表であるミン・ヒジン氏が、HYBEに対してADOR株式の「プットオプション(株式売却請求権)」を行使する意向を通知したことが明らかになりました。
このオプション行使の背景には、ミン氏がHYBEとの株主間契約に基づいた重要な要素が関係しており、業界内外から関心が寄せられています。
簡単に言うと、このプットオプションの行使により、ミン氏は元々持っていた「ADORの過去2年間の平均営業利益に13倍を掛けた金額を基準に、自身の持ち株比率の75%分の金額をHYBEから受け取る権利」を使おうとしています。
現在は2024年なので、この計算基準年は2022年から2023年となります。
2022年はADORに所属するガールズグループNewJeansが7月にデビューしたばかりで赤字となりましたが、2023年には大幅な営業利益を上げています。
2022年のADORの営業利益は-40億ウォン(損失)、2023年の営業利益は335億ウォンでした。
2年間の平均営業利益を計算すると( -40億+335億÷2) = 147.5億ウォンとなります。この平均値に13倍を掛けると、1,917.5億ウォンです。
ミン氏はADORの株式を18%保有しており、そのうち75%分の株式に対する価値を受け取るため、1,917.5億ウォン × 0.18 × 0.75 = 260.325億ウォン(約260億ウォン)となります。
現在の為替レートで計算すると、日本円で28億7,300万円。すごい金額ですよね、、
HYBEとの裁判で金銭的に苦しくなっているミン氏なので、これくらいの大金を手にすればかなり余裕ができそうですが、しかし簡単には進みません。
ミン・ヒジン氏がHYBEに対してプットオプションを行使したことで、法廷闘争に発展する可能性があるという指摘があります。
その理由は、HYBEがミン氏に対し「信頼を損なう行為を行った」として、2024年7月に株主間契約の解除を通知しているからです。
一方、ミン氏はこの解除を認めず、契約は依然として有効であると主張しています。この契約の有効性が争点となり裁判が行われているのです。
HYBEは契約解除を主張しているため、ミン氏のプットオプションの行使自体が無効であると判断する可能性が高いです。
HYBEが契約解除を主張しプットオプションの行使を無効と見なす場合、ミン氏に対する支払い義務がないと言い出すことが考えられます。
そうなるとミン氏は正当な対価を受け取れないので、新たな法的争いがまた勃発するのではないでしょうか。
ミン氏が持つADOR株式の売却やプットオプションの行使がHYBEとの法的な争いにより難航する場合、ミン氏の株式の処分は一時的に凍結される可能性があります。
株式の所有権はミン氏にあるものの、売却やオプション行使などの行動はできなくなります。
その後、もしも法廷でミン氏のプットオプション行使が有効であると認められた場合、HYBEはミン氏に対して株式の買取義務を負うことになり、一定の対価が支払われます。
逆に無効とされた場合、ミン氏は通常の売却や他の手段を考えざるを得なくなる可能性がありますが、HYBEとの株主間契約による制限が残っているので、売却することも難しい状況です。
ミン氏のようなADOR創業メンバーや経営陣が保有する株式には、特定の条件でしか売却できない「制限条項」がある場合が多いです。
これは、会社の株式が一気に外部に流出して経営が不安定になるのを防ぐ目的があり、契約によって市場外での売却(プットオプションのような形式)に限定されていることは珍しくありません。
しかしプットオプションまで認められないとなると、ミン氏にとってはかなりつらい状況になりますね…。
まとめると、
ミン氏の株式は法的な解決がなされるまで動かせない状態に陥るリスクがあり、保有する株式の扱いについては最終的な法的決定に依存することになります。
おそらくHYBEがミン氏のプットオプションに応じたり、契約解除を撤回することはないと思うので、あとは裁判所が法に基づいた適切な判断をするのを信じるしかないでしょう。
一方で、NewJeansにも新たな動きがありました。
NewJeansのメンバーは2024年11月13日に所属事務所ADORに対し、専属契約の重大な違反事項の是正を求める内容証明を送付しました。
NewJeansは内容証明を通じて、ADORに対して以下のように要求しました。
「ADORの唯一のアーティストである私たちNewJeansを見捨てるように決定し、それを指示したのが誰なのか、そしてその指示に従い不適切な行為を行ったのが誰であるのかを明らかにしてください。また、その過程で判明する背任などの違法行為については、民事・刑事の措置を講じてください」と訴えました。
さらに、これらすべてに関する監査報告書や、人事措置に関する報告書をNewJeansに提供するよう求めました。
メンバーたちは、14日以内に是正が行われない場合、専属契約を解除する意向を示しています。
ADORの関係者は、韓国メディアとの電話取材で「本日午前にNewJeansからの内容証明を受け取った」と述べ、「現在、内容を精査しており、具体的な要求事項を把握しているところです」と説明しました。
さらに、「アーティストと今後も良い関係を築き続けるため、賢明に問題を解決していくよう最善を尽くします」と付け加えました。
ミン氏のプットオプションの行使とNewJeansの専属契約解除の通知が同じタイミングで行われたのは偶然ではなく、意図的なものだと思います。
ただし、HYBEファンの方々が考えているようにミン氏とNewJeansが結託してHYBEを陥れようとしているというより、相当追い込まれて崖っぷちの状態になっていると、個人的には感じています。
ミン・ヒジン氏にとってプットオプションは、最後の頼みの綱であったことは確かでしょう。
できればもっと有利な状態で行使したかったはずです。しかしもう状況が改善することは期待できない。
ADORを取り上げられ自宅を差し押さえられたミン氏に、できることは限られているのです。NewJeansが協調してくれることが救いだと思います。
ここまで一人の女性を公然と追い詰める組織って他にあるでしょうか?
いくらなんでも、常軌を逸していると思います。
ミン氏の体力と財力をジリジリと奪い、最後には抜け殻にするつもりではないのかと…
どんどん追い詰められて崖から落ちるのを待っているのではないのかと、感じてしまうのです。