HYBEの社内過労死隠蔽問題が、あらたな局面を迎えています。
10月15日、チョン・ヘギョン議員が国政監査で「HYBE社員が子会社の大幅な拡張や複数のアイドルグループのスケジュール管理を同時に行うことで、夜通し働くケースが多い」と指摘し、過労死の隠蔽疑惑を提起しました。
同議員は「エンタメ業界全体で過労問題が深刻である」との見解を示しました。
国政監査で証言したHYBE人事責任者でありADOR新CEOのキム・ジュヨン氏は、過労死であるとの噂を否定して、社員の個人的な病気が死の原因だったと語っています。
しかし、数年前からHYBEで勤務しているという現役社員は韓国メディアの質問に答えて、匿名を条件に現場の過酷な状況を証言しました。
社員によると、2022年にHYBEの子会社が大幅に拡大された時期に、ある社員が過労死したとの話が社内で広まっていたそうです。
この社員が直接知っている人物ではありませんでしたが、社内での噂やメディアで一度報じられたことを見聞きしたと語っています。
社員はこの噂を知って「あり得る」と感じたそうで、その理由には現場の業務の厳しさがありました。
制作スケジュールの過密さや報告後の修正作業の繰り返しが負担となり、睡眠もままならない状況だったということです。
社員は「夜遅くまで働き、ようやく帰宅しても、すぐ次の仕事の連絡が来る」という生活を繰り返していたと証言。
労働時間の規制や効率的な業務運用が不足していた点も指摘されました。
一方で、HYBEは「労働時間の管理において法令を遵守している」と主張し、フレキシブルな勤務形態を導入していると説明しました。
HYBEは「社員が52時間以内での勤務を可能とするための制度を整備している」とし、自律的な働き方を奨励していると述べています。
しかし、国政監査で資料提出を求められた際には、労働環境に対する資料提供を行っていません。
これに対し、チョン議員側は「HYBEは私企業であり、資料提出の義務はないが、説明も受けていない」と述べています。
HYBE現役社員「過労死疑惑」のインタビュー全文
以下で、HYBE現役社員のインタビューの和訳を紹介します。
出典元:
Q. 10月15日の環境労働委員会の国政監査で『過労死隠蔽』疑惑が提起されました。2022年にHYBEの子会社が大幅に拡大された時期、社員が過労死したものの、HYBEが産業災害の申請をせず、持病として処理したという内容です。この件を知っていますか。
A. 社内では暗に噂がありました。亡くなった社員を個人的に知っているわけではありませんが、その話を耳にしました。最初に知ったのは『本人葬』の通知を見た時です。『本人葬』という言葉が目に留まり、その後、社内で噂が広まりました。「過労でそうなった」という話や、「休憩室で何かあった」などの噂が出回り、関連する記事も一度出て、すぐに消えた記憶があります。その話を聞いて『十分にあり得る』と思いました。
Q. なぜそう思ったのですか。
A. 私自身も経験したからです。コロナが深刻だった時期で、「むしろコロナにかかったほうが楽かもしれない」という話をチーム内でしていました。それほど大変でした。BIGHITで働いていた頃のことです。業務の形態が過酷で、理不尽だと感じることが多かったです。
Q. 具体的にどのような状況でしたか。
A. 過労死事件が起きる前から社員はみんな疲れ切っていました。コンセプトが決まると、その夜からすぐに制作に取り掛からなければなりません。夜中に作業せざるを得ない構造でした。このこと自体に不満はありません。しかし、制作が明け方5〜6時に終わった後も帰宅できず、報告後の修正があるとすぐに対応しなければならなかったので、数日間ほとんど寝ずに仕事をすることもありました。効率が悪かったです。
Q. 特別なエピソードはありますか。
A. 一度、早めに承認が下り、朝6時半頃に家に帰りました。「やっと休める、少し寝て午後に出勤しよう」と思った矢先、会社から電話がかかってきました。次の制作にすぐ入らなければならないので、すぐに出勤できるかと聞かれました。私が行かないと他のチームメンバーが代わりに対応しなければならない状況だったので、結局出勤しました。午前9時まで一緒に仕事をして、限界を感じました。会社には休憩室とマッサージチェアがあり、チームメンバーとマッサージチェアで2時間ほど仮眠を取りました。それも周囲を気にしながらで、常に緊張状態でした。会社に一度入ると、3〜4日間家に帰れず仕事をすることもありました。
Q. 労働時間の規制はなかったのですか。
A. 当時は週52時間制が適用される前でした。レーベルごとに指針も異なりました。夜間勤務をすると追加手当が支給される場合もあれば、支給されないこともありました。
Q. 通常、アルバムの発売日程に合わせて制作スケジュールが決まるのではないですか。
A. 定められた制作スケジュール自体に問題はありません。問題はそのスケジュール内で承認が得られるかどうかです。理解しがたい点が多々ありました。上から承認がなかなか下りず、その理由も明確ではないことがありました。結果的に、最初に作業した内容が採用される場合もありました。一言で言えば、非効率的でした。入社後1ヶ月で体重が10kg減りました。
Q. 現在の状況はどうですか。
A. システムは少し異なります。パン・シヒョク会長が当時の状況を把握していたかはわかりませんが、会長が直接関与するレーベルとそうでないレーベルの間には明確な違いがあります。