韓国の金融当局である金融委員会傘下の証券先物委員会(証券委)は、2025年7月16日の定例会で、パン・シヒョク議長を「資本市場法違反(不正取引)」の容疑で検察に告発・通報したと明らかにしました。
同じ容疑で、HYBEの元幹部A氏など3人も検察に告発されました。
これは金融当局が取りうる最も重い処分にあたります。
目次
問題とされている不正取引とは
金融当局の発表によれば、問題とされているのは2019年のハイブ上場前の取引です。
▼ 疑惑の流れ(かんたん解説)
- パン議長が投資家に「IPO(上場)が遅れる」と伝える
→ ベンチャーキャピタルなどの既存投資家は、上場はまだ先だと判断。 - その投資家たちが自社株を「SPC(特別目的会社)」に売却
→ このSPCはHYBEの幹部たちが出資・設立した私募ファンド(PEF)が管理。 - 実際には、HYBEはその頃すでに上場準備を進めていた
→ 指定監査申請など、明確なIPOプロセスが進行中だった。 - 上場後、SPCは株を売却し大きな利益を得る
→ この利益の30%をパン議長が受け取っていた。
パン氏らは、詐欺的な取引で200億円以上の利益!
- パン議長の不当利益は約1900億ウォン(約220億円)規模とされています。
- 金融当局は、これは上場に便乗して私的利益を得た構図であり、法に反する可能性があると見ています。
IPO前後の取引において、情報の非対称性(内部者だけが知っている情報)を利用して利益を得る行為は、「インサイダー取引」や「詐欺的取引」とみなされる可能性があります。
さらに今回は、上場直後の株式売却制限(ロックアップ期間)を、私募ファンドという仕組みを使って事実上回避したのではないか、という点も問題視されているのです。
HYBEは同日、以下のような立場を表明しました。
「上場を前提に私的利益を得ようとした事実はない」と金融監督院の調査に出席して説明したが、受け入れられなかった。
「非常に残念に思う」とした上で、「金融当局の決定を尊重し、今後の検察捜査で積極的に事実を明らかにする」としています。