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『VOGUE KOREA 2021年12月』テテ インタビュー日本語訳

テテインタビュー2021年

「VOGUE KOREA」で2021年12月に公開されたテテのインタビュー記事を日本語訳しました。

元記事はこちらです。

言葉の意味はしっかり残しながら、日本語として伝わりやすい表現にしています。

半分くらいは編集者の方の文章です。。テテのインタビュー部分は太字にしています。

最後に私の感想も書いているので、良かったら読んでみてください🙂

目次

テテインタビュー 2021年12月 Vogue Korea

BTS Special

Vが世界を見る方法。

2021.12.21

カーブしたり尖ったりしていなくても、強靭でいられることをVは知っている。

若き日に青春を知らなかった、彼らの無知はどれほど無垢なのだろうか。知らないうちにやって来ていた青春の、その刹那のような日々の中を一瞬で走りすぎ、しばらく時間が経ってから自分も若かったのだと知る。 そうなのだ。若い頃には今が青春ということを知らないから、それこそが純粋なのだろう。

人々から注がれる愛と関心、些細な行動にまで意味付けされることに負担を感じないか?という質問に、Vは本当にわからないと言いたげに首を横に振った。

人々にとってBTSとはどんな存在なのか、よくわかりません。

称賛と肯定的な反応をくださるのはとてもありがたいですが、僕たちがどうしてこんなに愛されているのか、本当によく分かりません

アジア歌手として初めて「アメリカンミュージックアワード」大賞を受賞したBTSのメンバー。

世界美男ランキング1位など、華麗な記録を持つVは、これからの人生を通じて刹那のように感じられるかもしれない瞬間に、ただ忠実に留まっていたのだ。

しかし、自分にこの輝く瞬間が到来した理由をVは知らなかった。多くの人が、Vが賞賛される無数の理由を、多様な方式で本人に知らせているにもかかわらず。

撮影現場の雰囲気を左右するのは被写体だ。多くのグラビア撮影を経験したが、Vのためのヴォーグ撮影現場ほど落ち着いて静かなことはなかった。

轟音のように感じられるシャッターの音と、その合い間にかすかに聞こえる笑い声。 そこにVがいた。

Vは、撮影開始からスムーズに雰囲気を作り出した。 「キムすれ違えば縁」というニックネームがあるほど、初対面の人にも愛想よく先に話しかける彼の性格は今回も間違いなく明らかになった。

「MBTIが最初はE(外向)でしたが、最近はI(内向)に変わりました。 その2つの差はとても大きいそうですね?」

最近は名前を尋ねるように自然にMBTIについて話し、相手の性格を知ろうする時代だが、Vは自分の性格類型にも無関心だった。外向型が内向型に変わるのは、性格の大きな変化を示す結果であるにもかかわらずだ。

Vが性格類型に無関心な理由には、成長痛があったようだ。

(このMBTIの変化が)良くないとは思いません。 僕に良いことと悪いことを判断できる力ができたんですよ。 これは、周りにいる人達が助けてくれたから成長したんです。

これからもたくさんぶつかると思うし、傷付くと思うけど、怖くはありません。 その状況で僕がどのように進むかが最も重要です

Vの正論のようなこの答えは、BTSがこれまで積み上げた世界観とよく似ている。

平凡な7人の少年が作り出した、果てしなく非凡な成長物語。 VはBTSと共に成長していく。 そのため、どれほど強く逞しくなるか、制限を設けることはできない。

その成長を推進する力は、他ならぬ達成感だった。

僕を苦しめる何かがあったら、それを乗り越えようと絶えず夢中になって努力します。 例えば、ある感情に飲み込まれたら、それに関する曲を作ります。

良い曲でもそうではない曲でも、1曲完成するじゃないですか。 その達成感が、つらくて大変な気持ちを解消できるように、僕を助けてくれます

自作曲を着実に制作する彼は、RMと共同作業した最初の自作曲「4 O’CLOCK」以降、「風景」「Winter Bear」「Sweet Night」などを発表した。

現在、音楽著作権協会に登録されている曲だけで15曲(2022年9月現在は18曲)だ。

多くの人がその音楽性と共に、彼の詩的な歌詞に注目する。 日常の中のささいな感情をとらえて掘りさげているからだ。

日常からインスピレーションをたくさん得ようとしています。 旅行などの特別なイベントがなくても、僕の日常は特別だと思います。

最近は誰かの作品からインスピレーションをたくさん受けます。 昨日は久しぶりに『フォレスト・ガンプ』を見て、涙がちょっと出ました。

主人公が最後に『*僕らにはそれぞれ運命があるのか、それともただ風に流れているだけなのか、分からない』と言うのですが、その場面が気の毒で悲しかったです

(*フォレスト・ガンプが先立った妻の墓に向かって語りかける言葉「*I don’t know if we each have a destiny, or if we’re all just floating around accidental-like on a breeze」のことです🐻‍❄️)

Vが生まれる1年前に公開された「フォレストガンプ」は、先天的に知能が低く、足の不自由な主人公フォレスト・ガンプの人生を描いた作品で、愚直でまっすぐな男性の物語だ。

フォレスト·ガンプは不便さを抱えて生まれたが、偶然に備わっていた才能で名誉と富を得ることになる。 思いがけない幸運と努力によって、天が与えてくれた運命だった。

BTSのメンバーとして、これほど大きな成功を成し遂げたことについて、Vは全てが「運」だと言い切る。

運命を信じたりもします。 でも、時間を戻したからといって、今のように歌手になれるのでしょうか? そうじゃないかもしれません。

だから僕はすべてが流れていく「風」のような運だと思います

BTSのVではなく、1995年生まれのキム・テヒョンの人生の中で、最初のターニングポイントはメンバーたちに出会ったことだ。 そして、そのメンバーたちと練習生時代を過ごし、デビューしたのだった。

小さな会社から始まったので、僕たちの中で頑丈な何かが形成されたんです。

僕の心構えもかなり変わりました。 その時から、メンバーたちをもう一つの家族だと思っていたから

そしてVに対して無条件の愛と支持を送る、アミという心強い味方もできた。

コロナによってオフライン公演ができなくなると、BTSは独自のプラットフォーム「Weverse」を通じてファンとさらに交流した。 その空間で些細な日常を分かち合っていたが、彼はこれについて「交流」と表現するのがあまり気に入らない。 なんとなくビジネス的だと感じるからだ。

アミとは気を使わない親しい友達でいたいです。 悩んだり、気になることがあるたびに、Weverseを通じて話をしているからです。

ファンに接する時だけではなく、すべてのことをビジネス的にアプローチしたくありません。 良いものだから写真を撮って、楽しいと思うから作業して、好きな人だから先に近づくんです。

時にはビジネスマインドも必要ですが、僕にはそれができません。 それが僕の短所です

「真心は伝わる」「愛された人ほど愛を表現できる」のような、陳腐な「言葉」でVは表現できない。

海外公演中に偶然立ち寄ったギャラリーで無名画家の作品を買いながら、作家の手を握り「あなたの日々が明るく輝きますように」と話し、感動を与えたというエピソードは有名だ。

そのような行動をする理由はたった一つだ。

多くの人に愛されるので、その愛を分けてあげたい気持ち

それなら逆にVが辛い時に繰り返す言葉は何だろうか。

よく知られていますが、僕の父が言った『クムシラコ』という言葉が今でも多くの力を与えています。

メンバーたちも、大変なら頼っても良いと言ってくれます。 Vではなく、キム・テヒョンとしての大変な部分をたくさん慰めてくれます

ボーカリストとしてVの魅力が最も引き立つ曲は、昨年11月22日にAMAs(アメリカンミュージックアワード)でColdplayと一緒にステージを繰り広げた「My Universe」だと思うと言うと、彼は共感するように笑った。

この曲は、メンバーがColdplayとレコーディングする姿を撮影したビハインド映像が広く共有されていた。クリス・マーティンが録音室ブースの外でメンバーの声を絶賛する場面がある。 どんな華麗な舞台映像より、BTSが「本物のスター」になったことを改めて実感することになった。

実は、その映像には出てこなかったのですが、英語ガイドで曲が出た時、僕がその曲を最初から最後まで録音したことがありました。

その時、Coldplayのメンバーたちが「第2のクリス・マーティンのようだ」と褒めたんですよ。 それで、僕が歌ったガイド曲をかなりたくさん聴きました(笑)

Vにとって、BTSは「光」だ。

小学生の時から将来の希望欄に歌手と書きましたが、みんな『お前の何が歌手なんだ』と無視しました。

ところが、その希望を叶えてくれたのが防弾少年団というチームなんです

「最初の」「最高の」という、修飾語が作り出す名誉とそれに伴う重みが、大変だったり疲れたりすることはないのだろうか。 一歩進んで、後悔することもあるのではないだろうか。

よく、『好きなことは趣味として残しておかなければならない、職業にしてはいけない』と言うじゃないですか。でも僕はそうは思いません。

とても好きな仕事をしているので、足りないと感じたら練習して、そうするとまた発展します。

僕は自分が好きなことをするんですが、その姿を見た人が喜んでくれるじゃないですか。 それ自体が、とても意味深いことだと思います

Vは何のひねくれもなく世の中を見る。 それでも大丈夫なのだということを、彼らが世の中に登場してから、キム・テヒョン、V、そしてBTSはずっと見せてくれる。 今この瞬間までも。

シロクマの感想

このインタビューは公開されてすぐ日本語に訳して読んでいたのですが、今回記事にするために、あらためて編集者の方の言葉も日本語として分かりやすく文章にしました。

つらくて追い詰められた時には曲を作って、その達成感で自分を慰めるというテテ。

これまでにさまざまな苦しさを味わってきたからこそ、自分なりの「乗り越え方」を身につけていったのだろうと思います。

そしてその過程で成長して、MBTIは外向的から内向的に変わったということでしょう。

テテは外向から内向に変化した自分のMBTIについて、「悪いことだとは思わない」「成長したということです」と答えています。ただ、その言葉が本心であるとは、私には思えません

無邪気で人を疑うことを知らなかったテテが、アイドルとして活動する中でどんどん内向きな性格に変わっていき、人を信じることを少しずつ諦めていく様子は年月を追っていけば明らかでした。

テテ自身も十分に自覚していると思います。

しかしそれを口に出せば誰かを批判したり責めたりすることになるので、いつものようにそっと心にしまって、それは悪いことではないんだと自分に言い聞かせているのではないでしょうか。

インタビューの中で編集者の方が強調しているのは、テテがBTSとしての成功の理由にも、自分の性格の変化にも、無関心であることです。

「なぜBTSが愛されるのか本当にわからない」とテテは言います。実際に理解できないのだと思います。

私はその「分からなさ」こそが、テテのパーソナリティーだと思っています。

テテの自作曲「風景」の中で、「I still wonder wonder beautiful story / Still wonder wonder best part」という歌詞があります。

テテ風景

「I still wonder」は「まだ不思議」という意味です。この場合、不思議という言葉を「分からない」と訳しても良いです。

僕は美しい物語がまだ不思議なんだ、最高の瞬間がまだよく分からないんだよ」と歌うテテ。

この曲の中での「美しい物語、最高の瞬間」というのは、テテがBTSに入りデビューしてたくさんのファンに愛され、アーティストとして成功したという道のりを表しているので、そうした「自分自身の成功が不思議で、まだ信じられない」という歌詞です。

「風景」を発表したのは2019年ですが、その時からテテの気持ちは変わらず、今でも成功したことや愛されていることが不思議で、ある意味では受け入れられていないことが窺えます。

国民的なアイドルになって韓国有数のセレブになった今でも、自分の成功に無関心だという理由は何でしょうか?

テテが自分の感情に対して無頓着で無関心なのは、日々の苦しさが彼にとっては大きすぎて、正面から見るのが怖いのではないかと私は感じています。

無関心を装って「いつもアンニュイな V」でいることで、自分の心を守っているような気もします。

それでいて、テテは人の不幸、例えばフォレスト・ガンプに起こる悲劇を見れば気の毒になって涙を流します。

自分に起こるできごとが運命なのか風まかせなのか分からないというフォレスト・ガンプの言葉に共感するテテ。

運命を信じることもあるけど、時間を巻き戻してまた歌手になれるとは限らないから、結局は風まかせの運なのだと、思っているのです。

以前にビックイシューの記事を訳した時に、「テテには狂気と純粋が同じ分量で含まれていて、明るい未来を信じてやまない無垢な子供と、全てに裏切られ疲れ切った老人が仲良く一緒に暮らしている」と私は書いたのですが、今もその印象は変わっていないです。

テテは8月1日のインスタに画家のククウォンさんが描いた『Innocent is a kind of insanity(無邪気さは一種の狂気である)』というタイトルの絵画を投稿して、その言葉をそのままキャプションに書いていました。

無邪気さは一種の狂気である

いい年をして無邪気でいることは狂気の沙汰でもあるので、テテはきっと自分を取り巻く人々や、また自分自身を俯瞰して眺めながら「無邪気さは一種の狂気である」と、そんな風に思うこともあるのだろうな、と感じました。

2022年のVOGUEインタビューはこちらの記事にまとめています🙂

テテは、すべてを拒絶しながらすべてを受け入れている人だと思います。

心では拒絶しながらも受け入れる選択をすることで、大切な人たちを守るのだと決めているのではないでしょうか。今も。

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