2023年9月29日にリリースされたジョングクさんの2ndシングル『3D』について、ジャック・ハーロウさんが担当するラップ部分に人種差別や女性蔑視が含まれているのではないかと、リリース後すぐに問題になりました。
『3D』のセールス自体にはそこまで大きな影響を及ぼしていないと感じますが、アジア系の女性からは違和感や失望の声が多く上がっていたことは事実です。
しかし、なぜなのか、
日本ではジョングクさんを庇いたいあまりに「あの歌詞は差別的では無い」「ヒップホップなんてあんなもんだ」と、どこからともなくウルトラ擁護の声が集まってきているようです。。
そこで、こちらの記事では、あの歌詞の何が問題なのかを説明していきます。
アジア系女性を名指しすることが「人種差別」である
「ABG」が差別用語かどうか。そんなこと議論する意味はないのです。
参考までに、アメリカで「ABG」がどのように考えられているかについての記事を引用します。
・記事抜粋
ABG は、アジア系アメリカ人の少女、より広く言えば、西側諸国で育ったアジア人の少女に当てはまるステレオタイプです。標準的なABGは髪をバレイヤージュ色(通常はブロンド)に染め、毎日つけまつげをしており、ボディコンの服を着るのが好きです。
私の友人たちはABG を「表面的」で「整形的」、または「他のABG とまったく同じに見せようと一生懸命努力している人」と表現しています。 彼らとのABGについての主なテーマは、「偽物に見せようとするあまりに努力している人たち」ということです。
ABGが自信家であるということは広く同意されていますが、多くの人はこの自信を空虚さや教育の欠如と結びつけており、これがABGの行動、外見、性格をからかうことを容易にしています。
女性性の高まりと、弱さや知性の欠如に対する性差別的な認識との間には相関関係があると思われるため、一般に性差別もこれに関与している可能性があります。「ABG」に対して有害な意見を持つことは、今では実際にかなり人気があります。それは、「私はあの女の子とは違う」という言葉と同じ考え方を永続させます。
ABG自体は、白人の影響で内面化された人種差別の産物である可能性をいくらか残しています。
・ABGsのより詳しい解説
1) ABGはSATよりずっと以前から存在していた。元祖アジアン・ベイビー・ガールズは、ギャング活動やギャングバンガーのボーイフレンドを持つことを目的としていた。
2) ABGのカウンターカルチャーには、セクシュアリティ(スケスケの服、「ふしだら」な行動)や、従来は魅力的でない美学(染めた髪、日焼けした肌などは、アジア人の基準では従来は魅力的とはみなされない)を受け入れることも含まれる。どちらかと言えば、ABGは90年代から2000年代に日本で生まれたギャル文化をより現代的にしたものだ。
別の記事も紹介します。
もしあなたがミレニアル世代やZ世代の若者なら、ABGが何であるかはすでにご存知だろう。アジアン・ベイビー・ガールズは、アジアン・ベイビー・ギャングスターとも呼ばれ、大きなまつげ、くっきりとした眉毛、黒っぽい服装、染めた髪で知られる典型的な東アジア人と東南アジア人だ。
グループでたむろし、コリアタウンでの食事やパーティーを好み、ジュースを飲んだり、ドラッグをやったりする。
アジア系アメリカ人の集団的アイデンティティの誤った感覚を作り出すために使われる多くの漠然とした原型のように、ABGは今やミームのようなもの、皮肉を込めて身につける美学、あるいは奔放な友人を表現する方法とみなされている。
アメリカでの「ABG」とは一体何なのか、少しは理解できたでしょうか?
ただ、言葉への理解は人によって差がありますから、「ABG」そのものが差別用語かどうかは、議論しても仕方ないのです。
問題なのは、『3D』の歌詞の中でなぜアジア系女性をわざわざ名指ししているのか、ということ。
人種を特定することが、差別だと私は思います。
All my ABGs get cute for me
まず「All my ABGs」です。「すべてのオレのABG達」と言ってます。アジア系の女の子はオレのものだと。
次に「get cute for me」です。「オレのために可愛くなれよ」と。
アジア系の女性に限定して、「All my」「オレのもの」だと、所有物だと示した上で可愛くなれよ、と言っているのです。
「世界中の女の子」ではなく、なぜ「アジア限定」なのか
なぜ「世界中の女の子」ではなく「ABG」アジア系に限定する必要があるのですか?
これが差別でないなら、何が差別なのでしょう。
人種をアジア系に特定した上で、、
I had one girl (One girl), too boring
Two girls (Two girls), that was cool for me
Three girls, damn, dude’s horny
Four girls, okay, now you whorin’
1人2人3人と、女の子をおもちゃにする。そして最後には「whorin’」と、、「ヤリマン、売春婦」だと言っているのです。
日本人でありながら、これを侮辱だと捉えない人、人種差別的であると感じない人に何も伝えることはありませんが。。
「ABG」はアメリカで良い意味で使われているとか言っている人は、アメリカにおけるアジア系女性の現状を、知らなさすぎるのではないですか…。
アジア系女性にとって、中国語やタイ語、日本語や韓国語をアメリカの街中で話し、黒い髪の毛をなびかせて歩くのは、今は危険でしかない。
ペッパースプレーや警告笛、スタンガンは、どの銘柄が一番目立たなくて性能がいいのかーー。そんな情報交換がアジア系女性たちの間で行われているのが今のアメリカの日常だ。
私はやはりどう考えても、
『3D』は問題のある曲だと思っています。